31.10.14

NuForce AVP-18レビュー(2)

前回の続き。
仕事の暇を見つけて書こうとしてたら、AVP-18はもう発売から1年が起とうとしている。全然レビューとして役立たんサイトだな、ここ。でも、書き始めたからには最後まで書きます。

前のレビューでは2chの音質面での話をしてきたが、今回はAVアンプという観点で機能面についても触れていこう。といっても、スペック詳細はオフィシャルを見てもらったほうが良い。

それすら面倒な人のためにまとめると、
機能面は明らかに日本製のAVアンプと比べたら不足している。

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この世界に興味ある人なら知ってると思うが、AVアンプの世界は日本メーカーがトップだ。

ネットオーディオやらUSBオーディオやらハイレゾやらDSDやらDolby Atmosやらと、毎年のように増える多種多様なオーディオフォーマットに対応しているのが日本のAVアンプだ。(右図はPioneer SC-LX88)
加えて、3Dや4Kの映像信号の受信も可能だし、ヘッドフォン用バーチャルサラウンドに、何でもかんでも修正する自動音場補正も付いている。とにかく、雑誌に載るような流行は全部対応していて当たり前だ。そのくせ、レコードやらCDやらのレガシーなオーディオにも対応してる。
多機能過ぎてリモコンがわけわからないので、iOSやAndroidのリモコンアプリまである。
詰め込み文化の境地、Made in Japanは伊達じゃない。

一方のAVP-18(左図)はというと、入力はHDMI/同軸/光の3種類。USBなんてない!ネットワーク接続なんてできない!ましてやアナログ入力なんてもちろんない!!という、男前仕様だ。DSDなんて非対応だし、Dolby Atmosなんて対応しないし、ヘッドフォン出力もないし、リモコンアプリなんてもちろんない。DSPはしょぼいし、映像関連についてはただのパススルーで、4k(HDMI 2.0)も対応していない。

AVP-18にあるのは、独自の自動音場補正くらいだ。「独自」というのは、どうやらプリアンプという設計のためにAudysseyなどの認可を得られなかったということらしい。(出力レベルとかに認定基準があるんだろうか)
この自動音場補正、期待していたより出来が良い。PioneerやSONYが誇る最高品質の音場補正と比べているわけではないが、特に不満がないレベルでシームレスに音が繋がっている。サブウーハーを持っている人であればLFE補正のあるPioneerが良いと思うが、持っていない人であれば特に不満はないだろう。ネット上では音質について絶賛すらされている。

なお、他にも意外と言えば、AVP-18は日本製では当たり前のように搭載しているHDMI PassThroughだとかHDMI CECだとかHDMI ARCにも対応している。若干動きが不安定な気もしなくはないが。。。


AVP-18は、マルチチャンネルとして必要最低限を兼ね揃えた製品という位置づけだ。単に映画やゲームの音声信号を受けられるプリアンプを探している人には最良となるだろう。
NuForce自身が述べているように、この製品は2013年末の時点の必須機能の範囲は網羅している。言い換えたら、2014年以降のトレンドには非対応だ。そういうのが必要なら国産を買ってほしい。
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僕がAVP-18に注目していた理由は、主にそのスタイリングにある。機能を絞ったことで実現している高さ8cmという薄型軽量ボディ、スタイリッシュなエクステリア、デジタルに絞ってごちゃごちゃしにくいケーブル類。
使うかわからない機能すら詰め込む日本と、削ぎ落としの欧米。なんか、まさにだよなぁ。

外形寸法を主要な製品と比較してみよう。(単位はmm)
製品高さ奥行き
NuForce AVP-1843080340
Pioneer SC-LX88435185441
Pioneer SC-LX58435185441
SONY TA-DA5800ES430187.5420
ONKYO TX-NR3030435199466.5
ONKYO PR-SC5509435198.5453.5
DENON AVR4520434194.5422.7
marantz AV8801440185390
marantz NR1605440105376

比較しているクラスがバラバラに見えるかもしれないが、セパレートアンプを考える人はこのくらいのラインナップであながち間違いないだろう。。。
大は小を兼ねるとは言うが、それにしてもあまりにも大きいのがこのカテゴリの製品だ。

注目の1つ、ONKYO PR-SC5509はマルチチャンネルのプリアンプで、AVP-18と競合するカテゴリの製品だ。ただし、価格は26万とAVP-18の2倍、サイズも見ての通りかなり大きい。

日本製でもマランツのNR1605はかなり薄型で頑張っている。僕はこの製品を所有したことはないが、きっとイケてる製品だと思う。これについては後述しよう。


元々2chからオーディオをやっている人や、普段は音楽しか聴かないけど、稀に映画観たりゲームをする人もいるだろう。そういう人は、良い2chアンプをパワーアンプとしてマルチチャンネルに組み込むことが最良の構成になる。
でも、AVアンプというやつは一般に非常にでかいので、「2chアンプも置くなんて考えられない」というのが日本の住宅事情だろう。

AVP-18はプリ機能だけに絞って小さくまとめてくれていることで、好きなパワーアンプを設置スペースを気にせずに使えることは最大の魅力だ。


僕の環境ではフロント2chをNuforce Icon AMPが、リア2chを中国製低価格アンプSA-S3が担っている。
SA-S3(隣の画像のやつ)は、プアオーディオの代表格のひとつだが、高級感がそれなりにあり、バナナプラグにも対応しているので取り回しが良い。Icon AMPと並べると、省スペースでマルチチャンネルがセパレートアンプ構成できて良い感じだ。

少し話がそれたが、そんなイレギュラー、アンバランスな構成でも、自動音場補正はシームレスに繋いでしまっている。Audyssey非対応でも、良くできていると言っていいだろう。

なお、マルチチャンネルの音を聴く上では、「ALL STEREO」モードを選択することが良いように思っている。名前はSTEREOだが、ちゃんとマルチチャンネル動作する。巷では「Direct」モードを推奨しているようだが、「Direct」モードでは折角の自動音場補正が最低限しか機能しない。スピーカーやアンプ構成が揃っているならDirectは良いが、僕のように前後で違うアンプを使うような構成であれば、「ALL STEREO」がおすすめである。

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今僕は、AVP-18を使い続けるかどうかについては少し悩んでいる。というのも、この製品は操作性が良いとは決して言えないし、4kなどの将来的な映像フォーマットにも非対応だ。2chレビューでも書いたが、音声信号のロックに時間が掛かって最初の音が欠けることも多い。映像信号に関してもパススルーしているせいか、TVの入力を切り替えた直後などはロックに時間が掛かってチカチカする。

一方で、この2ch出力の音を出せる国産AVアンプがあるのか心配でもある。サラウンドスピーカーを必要とするのは映画やゲームのとき、しかも後ろから音がするような場面だけだ。
基本的にはフロント2chの音が良い方が満足度は高い。
AVP-18の出すフロントの音は非常に瑞々しく、ずっと聴いていたいと思わせる程良い。映画も見始めると圧巻の高解像度音声で、少なくとも古い世代のAVアンプでは勝負になっていない。

だから、不満を抱きながら使い続けているのが現在だ。国産AVアンプの満足できる物が、納得できる価格で市場に出回るそのときまで。幸い、非常に小さいこの筐体は邪魔にならないのだし。

音にこだわりがある人、限定された機能で十分と思える人、スペースに限りある人。そういう人にAVP-18はお勧めだ。

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最後に、上述したマランツの話に戻すが、国産AVアンプではマランツのNR1605が薄型で扱いやすいなぁと思って注目している。
このアンプは、2.1chのプリアウト端子がちゃんと用意されている。つまり、フロント2chは好きなパワーアンプが使えてしまうのだ。

使う頻度も少なく、音の品質もそこまで重要にならないサラウンドチャンネルのアンプにお金を出すより、フロント2chに少し投資をするだけで幸せになれるのは過去に書いたとおりだ。
これだけで多くの人はCDを聴く分にも満足できる音になるだろう。


オーディオの世界にも拡張性を確保したミニマルな製品が増えたらいいのに。
ずっとそう思ってます。
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