18.1.13

NuForce Icon HDP + U192S

14:40
明けましておめでとうございます。
年を越すほど間が空いてしまったけど、前回のオーディオの話の続きです。

前回のログは文字が多くて、書いた俺ですら読みたくない内容だったので、今回もバランスをとって文字多めで行きます。不屈の精神。

顛末から先に言うと、NuForceのDAC買っちゃったって話。
そんな意思決定に至るまでのブレインストーミングの記録である。僕の思考パターンを曝け出すまさにログ。下書きしている期間も長すぎて、変なログになってる。

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そもそもで、このブログ見る人はDACってなにって人も多いと思うので噛み砕いて記しておくと…

デジタルな音楽データをスピーカーから出すためには、最終的にどこかでアナログ化(電気信号化)する必要がある。それは一般にはプレイヤーかアンプ(一体化してる場合もある)がやってくれるんだけど、それ専門の役割を分離した機器が単体DAC(D/Aコンバーター)と呼ばれてる。

「単体」から推察できるが、プレイヤーやアンプにはDACチップが載っている。この変換にはノイズの影響が明確に出るので、分離したり高機能化したり高級化したり、高音質のために色々な努力がされてるのだ。
このログで話すのは、その中でもPCから手軽かつ高音質にUSBを使って音を取り出す「USB DAC」の話だ。

何で(PCに)DACが必要なの?って話もよく聞かれるので先に触れておくと・・・ まずPCは、ノイズが多いってことが問題にある。この問題は光出力できれば大方クリアできる。
しかし、こうして取り出された音は何故か痩せており、臨場感に欠け、どこかつまらないことが多い。それが前回書いた素のMacの音の物足りなさである。そこで、よりオーディオライクな音を作ってくれるDACが欲しくなるわけだ。

世の中はUSB DACの全盛期になりつつあって、単体USB DACはもちろんのこと、複合型アンプにはUSBポートがあるし、CDPやらネットワークプレイヤーにもUSBポートがあったりする。なんでも、ノイズの原因になりやすい回転体を使わないから音が良いということで。(つまり、回転体は音が悪いというトレンドである)

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USB DACの最近の流行りは1)Async転送、2)ハイレゾ、3)DoP(DSD over PCM)みたいだ。

1)Async転送(非同期転送)は、クロックが安定しないPCからはクロックなど気にせずデータを転送して、DAC側の正確なクロックでアンプにデータを送ろうって話。ジッターが減って音のクオリティが増すそうだ。ちなみにSync転送は、音声信号と共にクロック信号をPCから送信している方式らしいけど、後述するがなんだかその定義も曖昧だ。

2)ハイレゾは高音質音楽データの総称。Blu-ray、SACD、高音質配信、アップサンプリングなどを気にする人が、必要な話。(僕もアップサンプリングは好きだ)

3)DoPはDSD音源(SACD規格)をDAC側でデコードしようって話だ。DSD対応ってのは一般的なDACの場合、比較的容易に実装可能らしい。DoPは明確に音質が向上して別次元の音になるんだそうだ。

1)2)は対応してることが望ましい。というか、トレンドだ。けど、3)のDSD音源には僕の聴く音楽はほぼないし、データの管理も厄介なので、これはまだ気にしなくていいやという割り切りで製品選定した。


今回の選定で特に気になっていたのは、Async転送に対応してるかどうかだった。前回の日記でも書いているが、CDPとPCで同じデータを再生した時の音質の差は、ジッターではないかと僕は考えていたからだ。
CDPもPCも理論上、ノイズの差こそあれ、同じデータを同じデジタル規格(光)で転送するのだから、有意義な差が生まれるとは考えにくい。それでも聴感上オーディオ機器とPCで差を感じるのだから…ましてや、オーディオ機器ではないPS3のアップサンプリングで高音質に感じるのだから、ジッターと考えるのが自然だったのである。
ジッター低減にはAsync転送。そう言われてしまったら、試したくなるのが物欲人間の性である。

ちなみにジッターに関しては、RATOCの中の人がこんなことを言ってるし、NuForce Icon HDPのレビューでも「内部クロックを使って信号作ってるよ」って書かれてるので、ジッターとAsync転送は実は依存関係はないのかもしれない。とはいえ、僕の脳がこれ以上理論を追うのは本質的ではないと訴えているので、誰か噛み砕いて説明してくれるのを期待してこのあたりは放置することにする。

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話を戻そう。
これはMacを手に入れてから気付いたことだが、廉価帯でAsync転送がMacに対応しているものが2012年時点では非常に少ない。
いや、本来ならUSB Audio Class 2.0にMacは対応しているので、この規格対応の機器なら問題ないのだ。しかし、そんな機器自体が非常に少ない。
どうやら多くの機器は独自ドライバーでAsync転送を実現しており、ドライバーの作りやすさ?市場規模の違い?で、廉価帯ではWindowsのみの対応が多いのだ。

トレンドをぎゅっと詰め込んだ高音質なUSB DACとなると、Fostex HP-A8TEAC UD-501Pioneer N-50などが評判が良い。とはいえ、これらは高かったりデカすぎたり、初物にして終着点な印象が強い。
低価格帯ならMusilandJAVSFireStone、などあるが、Mac非対応だったり、DACじゃなくてDDCだったり、食指が動かないブランドだったり、イマイチである。なかなか手頃な製品が見つからないものだ。

そこで、こう思ったのである。
「好きなブランドの製品を買ってプラシーボで音を良くしよう」と。
そう、実にポジティブにプラシーボを利用してやろう。

さて、そうなると会社は限られてくる。(僕の)頭に高音質なイメージや憧れが付きまとうブランドで、手を出せる価格のものだ。PCオーディオ専門のブランドだと憧れが弱いからダメだ。
そうなると僕の中ではNuForceが筆頭だ。このNuForce社で絶賛されているものの一つがDACである。バッチリだ。

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NuForceのヒット製品といえば、Icon HDPである。小さい、安い、高性能。ヘッドフォンアンプなので我が家にはないラインナップ。
しかし、これはやはり昔の製品・・・ 88.2kHzや176.4kHz非対応、USB入力だと96kHz止まり、Async非対応・・・ スペックで言えばイマイチだ。
だが、発売当時の日本のオーディオ雑誌や、海外のフォーラム評価では素晴らしいという言葉の連続だ。少なくとも、2年前の絶賛な音にはなりそうである。

ちなみに、USB DACに限ればIcon uDAC2という低価格製品もある。しかもこちらにはAsync対応版もある(お得な値段ではないし、ダサいが)。しかし、どうせならDACチップが良いHDPを狙いたい。

しかし、HDPは安いとはいえ、価格で言えば、2年前の製品なのに値下がりせず5万円ほどする。単にNuForceとしては安いだけで、2年前なのに値引きしてくれないのは痛い。

ということですぐに思いつくのは、個人輸入しようということだ。
NuForceは日本からでもAmazon.comで買うことができる。送料はそれなりに…いや、かなりするが、日本で買うより安い。

さらには、NuForceオフィシャルなNuForce Outletなるアウトレット販売サイトがある。アウトレットだけに安く、オフィシャルだから米国でもまぁ安心できるだろう。ここなら、Icon HDPも$291だ。Amazon.comと同じ配送系を使用するようで、同じ送料(だから高い…)で日本にも届けてくれる。

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そしてアメリカには珍しい商品…Icon HDというものもある。HDPから同軸や光入力をカットしたものだ。価格も定価で$350とHDPから$100ほど安くなり、アウトレットならなんと$161だ。送料が$65もするが、時は2012年11月。アベノミクスも関係ない円高時代。日本円にしたらざっくり計算で送料込19,000円。本当に安い。
これは僕の用途ではバッチリじゃないか…

しばらく悩むが、2万円以下なら失敗しても文句ないじゃないか。「人生は短い」を心に、Icon HDを買うことを決意した。

しかし・・・カートに入れるも、品切れだった。試しにHDPをカートに入れてみるも、同様だった。どうやら商品が表示されるってのと、在庫があるってのはイコールではないようだ。アウトレットだもんなぁ。Icon HDはあまり出回っていない製品のようで、Amazon.comでも希少な品だ。

こうして買ったれ的な勢いを逃した僕は、ここからまた、一週間ほど悩みに入るのだった。

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数日後の話。
やっぱりAsyncが気になる僕は、NuForce U192Sという当時日本未発売製品を見ていた。専用ドライバーが必要だが、Async対応DDCで価格も$99と安い。これでアンプに同軸で入れたら高音質だろうし、HDPに同軸で入れたら192KHzにも対応して美味しいんじゃないか(笑

転機は突然だ。
酒を飲みながらアウトレットを眺めていると、U192Sもアウトレットにあることに気が付いた。$64。中国製みたいな値段だ(笑 送料込の試算をしようとカートに入れると、在庫あり。あれ?もしかしてラインナップ更新されたのか?
そこですぐにHDを入れてみる。在庫なし。HDPを入れてみる。在庫あり・・・
U192SとHDPセットで約$350か・・・

後は酔った勢いで決済するだけである。
送料込$463、39,500円。勢いで買うには納得感のある価格だった。送料が$107ってのが流石だが(笑
(しかも後日、Fedex経由で関税1200円を追加請求された)

発送まで5営業日くらい掛かるよと書いてあるが、本当に5営業日後に発送されたステータスとなった。その後のFedexの配送は素晴らしい。翌々日には日本に到着し、その翌々日には玄関まで来ていた。不在で受け取れなかったが。およそ10日で届いてしまった。

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そして、Mac mini+Audirvana → U192S → Icon HDP → TA-DA7000ES(アンプ)という無駄の多そうなスタックが出来上がった。シンプル路線、NuForceの思想、僕の頭にある理想、どれにも反する構成だ。

U192Sは本当に小さく、軽く、そして高級感がある。値段の高いHDPより高級に感じられるくらいだ。

Icon HDPは縦置きというあたりがオーディオっぽくなくて良い。隣にあるAVアンプ(TA-DA7000ES)とのサイズのギャップが素敵すぎる(笑

とりあえず重たくしておけ的な雰囲気のするオーディオ製品に比べて、この2製品は本当に軽い。U192SはUSBケーブルに負けて宙に浮いているくらいだ。


DACとしての音質については、Mac mini光出力に比べると低音に厚みが出たことと、余韻が艶やかになったことが変化だった。前よりジャズ系の音楽が心地良く聴ける。
巷では高解像度と謳われているが、解像度の上昇は感じない。劣化も感じない。アナログアンプであればDACの差が顕著に出るのだろうけど、僕の場合TA-DA7000ESがS-Masterを使うデジタルアンプのせいで差異が小さいのだろう。

ヘッドフォンアンプとしては、文句なく格別に良い音だ。と言っても、PCからSTAXに音を直接入れるなんてのはノイズが多すぎてあり得ない話なので比較はできないんだが・・・ パワーは鼓膜を破りそうなくらいにあるので音量を絞るしかないんだが、ヘッドフォンが高能率だと小音量の時にノイズが乗ることに注意。

U192Sの有り無しは比較してみたが、さして差を感じない。ソースに192KHzや176.4kHzを選択出来ることが嬉しいくらいか。

このように、DACとしてみると有無で劇的な変化は感じられなかった。多少は予想していたけれど、予想を下回るほど変化が少なくて耳が悪くなったのかと思ったくらいだ。良い意味でも悪い意味でも、TA-DA7000ESが我が家の音を掌握しているようだ。きっとシンプルなアンプなら差がハッキリしたのだろう・・・


こうやって音の評価をすると、4万円の投資の意味はあったのか、正直微妙だ。変化が小さすぎる。しかし、この環境だと4万円以上掛ける意味はないとわかったし、もっと安い物を買っていたらきっと物欲が出たのだろうと想像が付く。つまり、これは勉強への適切な投資額だったとは思う。
それに、変化は僅かでも、間違いなく以前より良い音には達しているし、CDプレイヤーで音を聴こうとは思わなくなるくらいにPCオーディオが高音質になっている。

ここまでは2012年12月末日執筆。

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音の変化が少ない・・・と言っていたのは実は最初の頃だけだった。
一ヶ月ほど経った今(2013年1月)、Icon HDPを通さない音は素っ気なく感じて面白みを感じなくなった。某掲示板でNuForceの音について、「追加したことによる変化はわかりにくいけど、無くなったときに悪くなった変化はハッキリ分かる」と書いていたのを実感した。

そして、最近はU192S無しで、PCから直結でIcon HDPに音を入れた方が良い音だと感じられるようになった。
U192Sの有無の解像度の変化はないように思うので、解析的な試聴だと差異は見られないって評価することになるんだろう。これが先月僕が書いた(上記のこと)「劇的な変化は感じられなかった」ってことだと思う。

しかし今は、感覚的なところで変化を感じる。

Icon HDP直入力だと、勢いというか、音のコントラスト・・・静寂の表現力が、優れているように感じられる。だからこそHDP単体だと元気が良すぎるとか、U192Sを通した方が滑らかだという人もいるかもしれない。いっそTA-DA7000ESに光ケーブルで入れた方が高音質だという人もいるだろう。
はて、この差はエージングの結果なのか、心境の変化なのか・・・

改めて4万円の投資の意味はあったかと考えると、あったと答えたい。この音を聴いていると、CDプレイヤーで聴こうなんてもう思わない。

そんなHDPを手にして、最近はVoyage MPDなんていう物にも興味を示していたりする。その辺の話はまた次のログにて。


なお、このブログを読んでIcon HDPに興味を持つ人は奇特なんじゃないかと思うけど、もしOutletにIcon HD(not HDP)が並ぶことがあればそちらがお勧めだ。この音を$200程度で手に入れられるのは幸せだし、持っておいて損のない製品には違いない。何しろ、2年前ならトップクラスの実力だ。

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